歯周病を簡単に説明するならば、お口の中の汚れ(以下プラークといいます)の中に存在する歯周病菌が、歯を取り巻く環境(歯ぐき、歯を支える骨、歯と骨をつなぐ繊維、繊維のもう片方がつながる歯根セメント質)に感染することによって引き起こされる炎症、それにともなう自己の体の破壊といえます。患者さんご自身がわかる症状としては、歯茎の腫れや歯の揺れ、歯茎が下がった、歯ブラシ時の出血などが挙げられるでしょう。
前段に述べたように歯周病の直接の原因となるものは、プラークに含まれる細菌であり、この感染源を取り除くことが治療の第一になります。感染症というと、通常は抗生物質の出番と考えますが、歯周病治療において抗生物質は補助的な役割を担い、主役はあくまでもプラークを物理的に除去することです。なぜならば歯周病菌は細菌の塊をなしていて抗生物質単独ではその細菌塊を壊すことができないためです。
歯周病はその炎症の広がりによってまず二通りに大別されます。
繰り返しになりますが、歯周病治療において一番大事なことは炎症を取り除くこと、すなわち感染源の除去といえます。いうなればお口の中の徹底的なクリーニングをすることです。一つには患者さんご自身が十分な歯ブラシの技術を身につけること、もうひとつは歯ブラシでは届かなかったり、除去できない部分のクリーニングを専門家である私たちが行うことです。
とくに歯周炎になると歯と歯茎のあいだにポケット(谷底のようなもの、図参照)ができ、そこには通常とても硬い歯石がついています。ザラザラした歯石の表面はプラークにとって格好の住処、これをきちんと除去しないことには感染の制御はできません。